盛岡広域森林組合

2024年2月19日

岩手県産アカマツ及び広葉樹製品に関わるセミナー

盛岡広域振興局林務部主催のセミナーに参加してきました。

地域材の有効活用において、アカマツ材の活用について開催されたものです。
『岩手木づかい宣言』により県産木材の利用推進において盛岡駅の看板やバスセンター、中央公園の建物などの事例がある盛岡地域。益々の普及拡大に繋げるべく、製材分野から講師の方を招いて開催されました。
●講師一人目:二和木材の小笠原社長さんです。講談調の語り口でアカマツ材の強度や明るく温かみのある風合いについて解説されました。アカマツの魅力は経年変化によって現れる飴色の光沢。他方フシや割れが出やすい事、  製材時のねじれが強い事、ヤニが湧出すること、伐採期によりアオと呼ばれる材の色変わりが入ることを紹介されました。
●材の強さでは輸入品のベイマツにやや匹敵するものの、上記理由で敬遠されがちなアカマツ。それらの欠点を補うためには、丸太の芯を含まない形で材を利用する芯去りでの木取り、素早い乾燥処理、あらかじめ寸法より大きく製材する大挽きと、注文後の適寸での仕上げ挽きを行うことだそうです。平角と呼ばれる寸法にて梁などのヨコ使いに用いることが多いです。
●「なぜ利用促進が叫ばれるほど普及しないか」として、質・コスト・納期、つまり規格化されたものをまとめて作るという安定供給の面で課題があると指摘。アカマツ資源は主に岩手・青森での分布のため製材品としての流通量が限られ、そしてアオや松くい虫等により出荷量が安定しないから。また将来的な資源量として再造林樹種に選ばれないことも挙げられ、消費者との関係性が疎であるという事です。
●では勝つためにアカマツを大量に、早く、楽に売れるようには…と考えがちですが、作りすぎ・投げ売りを行うと市場価格を崩すリスクが伴う、と小笠原社長。開き直って産地である県内で「せまく・近く・顔の見える範囲で作って売る」ことについて力説されます。「近くで売ることで運送費を減らし、手数を増やし、近場の売り手との長らくのお付き合いを構築すれば、新規開拓の労力も減らすことが出来る。」広い視野が大切ですね。
●「付加価値の創造。大断面を挽くと歩留まりが良く効率化となる。アカマツの地域性や重厚感、柔らかさ、最近のCo2固定での貢献などストーリー性の広報普及が大切になってくる。人と建物の相乗効果で、高耐久性のあるアカマツは家の歴史とまちの歴史を長い時間で物語る存在になる。地域の経済効果ともなる。」実際に古いお屋敷にお邪魔すると、立派なアカマツの梁からはいまだに松脂が垂れてくることがありますが、それもまた歴史。
●「どこで手に入るのか…売るのには土場が必要で、タイミング勝負。ただし1対1のマッチングではタイミングが限られる、川中と川下が10体10くらいにプレイヤーと窓口を広く設ければ、機会が広がっていくので、ご来場の皆様とは広くお付き合いをお願いいたしたく思います。」当組合もそのイチプレイヤーでありたいと思います。

●講師二人目の高吟製材所・村杉さんの話は建て方側、施工事例中心でした。乾燥や不燃加工などについては関西方面へと送って処理することもあるそうです。関西方面にアカマツ材が少ないことから珍しがられるとの事。


●昼食を挟み午後は岩手県森林組合連合会さんの共販所内・役物・天板の保管庫と二和木材さんの矢巾工場の見学でした。木と暮らしの相談所の太田さんから解説があり、3面無節・化粧材の優良なところを製材所から預りストックし、工務店からの希望に沿ったり、材の利用提案事業を行っているそうです。役物なので目の覚める様な一点ものから、ある程度の質で揃えられた材が仕分けして積まれています。玉目(たまもく)の入った天板(サクラかな?)には自然の作った模様が浮かび上がりまさに一点もの、大規模工場にはない高揚感があります。
●「高品質材を歩留まりよく利活用できるよう、建築の知識が高いレベルで求められるのが大変であり、やりがい。まちづくりに直接関われる分野でもある。小笠原社長が述べていたように、木と人をつなぐ組合系統の役目を果たしたい」との事。組合系統一丸となって頑張ります。